日本史上、アジア史上初の快挙!


日本選手が思うような成績を残せなかったトリノ五輪。スピードスケート、ジャンプなど主要な種目は昼夜関係なくテレビ観戦してきたけれど、今日(AM5:20起床)ほど早起きして良かったと思える日は今大会では他になかった。


21日(日本時間22日)のSP(ショートプログラム)が終わった時点で、荒川選手が3位、村主選手が4位。1,2位がそれぞれコーエン(米)、スルツカヤ(露)の大物2選手だったことから、銅メダルでもいいから日本選手の誰かがひっかかってくれればいいなぁと思っていたのだけど、FP(フリー)でコーエン、そして抜群の安定感を誇るとされたスルツカヤがともにまさかの転倒。コーエンは直前の練習で2度ジャンプに失敗し、他の選手と接触しそうになったシーンがあり、万全の状態でないことは映像から見てとれた。SP上位3選手の中で唯一自分の力を出し切れたのが見事に金メダルを獲得した荒川さん。普段通りの実力を発揮する難しさ、五輪という大舞台の怖さを改めて感じさせられた。


荒川選手の凄さは、体の状態が万全ではない中(本番1週間前に左肩を脱臼)、自分の実力を大舞台で十二分に発揮出来ただけでなく、演技中、常に冷静な判断力を持ち続けられたことにもあると思う。SP、FPともに3回転−3回転のコンビネーションジャンプを予定していたようだが、1度も演じることはなかった。コーチの指示もあったようだけど、「連続3回転を飛ぶと転倒の危険があったので、3回転−2回転にした」ケースもあったそう。イケイケドンドンで強気を押し通して無理に飛ぶだけでなく、リスク回避で着実に飛ぶという引きの姿勢が好結果を生んだろう。大舞台で勝つためには技術だけ持ち合わせるだけでは不十分で、緊張感に打ち勝つ精神力、他選手より高得点を出すための駆け引き、判断も必要。荒川さんの場合は、4年前の五輪(ソルトレーク)での代表落ち、2004年世界選手権制覇後のルール変更などで悩んだ経験が糧となったのではないだろうか。今季限りで引退、プロへの転向が示唆されているけれど、どの舞台で滑るにしても、スケールの大きさと美しさで観客を魅了する演技を続けていってもらいたい。


日本初、フィギュアでの金メダル獲得おめでとう、そして日本中に感動を与えてくれてありがとう!! 
SP、FPともにパーソナルベストを出しての優勝は素晴らしいの一言。他にふさわしい言葉が見当たらない。


4年前より1つ順位を上げたものの、惜しくも4位に終わった村主選手。解説者の佐藤有香さん曰く、FPのジャンプで回転不足になるミスはあったものの、持ち前の表現力に満ちた滑りは出来ていたのではないだろうか。得点は思うように伸びなかったけれど、実力をほぼ出しきっていて、応援する側も十分に満足できる滑りだった。4年前(5位)より一歩前進。強いて言えば、ビールマンスピンを取り入れられれば、もっと3位と肉薄していたかもしれない。


最後に、日本の3選手で唯一初めての五輪出場となった安藤美姫さん。4回転ジャンプは練習の時と比べても回転不足は否めず、失敗(転倒)してしまったが、最高の大舞台で挑戦したことは評価したい。しかし、大技の後もミスが続いたのは今後の大きな課題。2位になったコーエンは序盤で2度ジャンプの失敗があったものの、後半はほぼノーミスでFPのみの得点でも2位に入った。コーエンと比較するのは酷かもしれないが、失敗後の気持ちの切り替えが出来るかどうか、そういった精神的なタフさを今後身につける必要があるのではなかろうか。
もう1つ気になったのが、4回転サルコーに気をとられすぎて、他のより易しいジャンプがおろそかになって、ミスを連発したこと。「4回転」という観衆の度肝を抜くような大技も必要だけど、やはり基本的(2回転、3回転レベル)のジャンプを確実に成功させることが最も大事。まるで基礎的な問題をあまりやらずに難しい応用問題ばかり解いていたように感じた。3回転以下のジャンプの成功率をあげることを最優先にやってもらいたい。4回転に挑戦するのであれば、私生活で節制をして、ジュニア時代のように体を絞らないと苦しいのではないだろうか。FPの4分間の演技を滑りきるだけの体力を維持しつつ体重を減らしていくのは難しいであろうが、少なくとも今の状態のままでは厳しいように思える。演技後の安藤美姫さんのコメントで何度か聞かれた「楽しんで滑る」という言葉。これは実力を兼ね備え、本番で100%出し切り、結果がついて初めて語ることの出来るものだと思う。シドニー五輪の女子マラソンでの高橋尚子選手がレース後に語った「凄く楽しい42.195kmでした」という言葉がまさにそう。日本を代表して五輪には参加しているわけだから、ただ楽しんで成績は二の次では困る。少し厳しい言葉になってしまったが、これは五輪の舞台でも十分に好成績を残すことの出来る潜在能力を持っていると評価しているからこその言葉。雑誌等では「四股疑惑」や「五輪後に結婚?」など憶測記事が並んでいるようだけれど、今回実力を発揮し切れなかった悔しさを4年後の舞台で再度ぶつけて欲しい。今回、3位、4位に入った2人はともに今回が2度目の五輪で、荒川さんは8年前の初参加の五輪では入賞すら出来なかったのだから。


話はがらっと変わるが、ライオンズは明日でキャンプを打ち上げ、明後日からはオープン戦に突入する。初戦は伊東監督の故郷・熊本でのホークス戦だ。約1か月にわたるオープン戦を経て、3月25日には公式戦が開幕する。ライオンズは本拠地・所沢でオリックスと対戦。
開幕戦で気になるのが誰が始球式で投げるかということだが、今日の五輪の結果を受けて、オファーを出すべき選手はほぼ決まったも同然か?? プリンスホテルつながりで。