慶應、43年ぶりの夢は幻に…

第87回夏の全国高校野球大会・神奈川県予選・決勝 慶應義塾vs.桐光学園
試合開始:13:03 試合終了:15:56 (横浜スタジアム)

チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
慶 應 1 0 0 1 2 1 0 0 0 5 10 0
桐 光 0 0 0 0 1 2 6 2 × 11 15 2

(投手) カッコ内は投球イニング数を示す
(慶)●中林(6 1/3)〜忠本(0/3)〜田代(2/3)〜宮本(1)
(平)山室(3)〜○石渡(6)

【経過】
1回表:高尾の中前安打で慶應が1点先制
4回表:漆畑のライトへの犠飛慶應が1点追加
5回表:高尾の右中間への2塁打で2点を追加
5回裏:手島のセンターへの犠飛桐光学園が1点を返す
6回表:竹内の中前安打で慶應が1点を追加
6回裏:岡山の左前安打と松本の右前安打で2点を返す
7回裏:村山の右翼スタンドへの3ランで桐光学園が逆転 (ここで中林降板)
7回裏:清島の左中間2塁打で1点を追加
7回裏:梶の右前安打でさらに1点を追加
7回裏:宮川のレフトへの犠飛でさらに1点を追加し、この回打者12人で6得
8回裏:松本、手島の連続2塁打で2点を追加。

【戦評】
序盤から慶應が効率の良い攻撃で得点を重ねていき、あとはエース中林がしっかり投げればという状況だった。しかし、これまで激戦を重ねてきたことによるエースの疲労が5回から顕著に表れ、ついに7回に捕まってしまった。逆転は村山の3ランという意外な形によるものだった。制球が乱れ、カウントを整えようと甘いコース(高め)へ入るボールを狙い撃ちされた。打ち崩される様子は春のセンバツの準々決勝・神戸国際大付属戦のリプレイを見るようだった。中林は最後まで持たなかったけれど、慶應がここまで来られたのもエース・中林の力投があったからこそ。中林が退いた後に、桐光学園打線につるべ打ちに遭ったのを見ると、中林に次ぐ2番手投手がしっかりしていればと思った。
今日に限ると、攻撃面は先頭打者を出塁させたイニングは全て得点できた。昨日の準決勝と今日の決勝ではバントもノーミスで、きっちりとした野球が出来ていた。守備面も内外野ともほぼ完璧だった。昨日の東海大相模戦は外野の守備で失点を防いだ場面も見られた。
慶應は今回のチームで、1度も主要大会の頂点に立つことが出来なかった。昨秋の県大会、今春の県大会と関東大会の計3回でいずれも準優勝。優勝は1度も果たせなかった。優勝と準優勝の差、一番の原因は投手層にあるのではないか。神奈川県予選を勝ち抜いて甲子園に出場するには、シード校でも7試合勝つことが求められる。1人の投手におんぶにだっこでは勝ち抜くことは非常に難しい。エースの中林に加えて、彼と同等あるいはそれに近い好投手がもう1人いれば、中林自身のマウンド上でののプレッシャーが軽減されたであろう。予選の方式が現状のままである限り、夏は県で優勝(No.1)にならないと甲子園へは行けない。今回のチームは県や地区レベルの大会でNo.2にはなれても、No.1にはなれなかった。今回の経験を生かして、上田監督には是非とも「優勝できるチーム」を作っていただきたい。レギュラークラスの野手には何人か残るメンバーもおり、投手陣さえ整備すれば、さらに強いチームが出来ると確信している。
最後に、甲子園出場を決めた桐光学園の皆様、おめでとうございます。終盤、中林を引きずり下ろし、さらに畳み掛ける攻撃は見事でした。センバツに出場した東海大相模慶應の両校を退けて出場するわけですから、甲子園では胸を張って、自信を持ってプレーして下さい。全国一の激戦区・神奈川県予選を勝ち抜く力があれば、全国でも堂々の戦いが出来るはずです。背番号1の山室投手が復調すれば、今予選以上に素晴らしいパフォーマンスが出せるでしょう。神奈川県代表として全国優勝し、優勝旗を持ち帰る意気込みで戦って来てください。慶應桐光学園に最後に敗れてしまいましたが、本大会では桐光学園を応援させてもらいます。