第54回全国大学ラグビー選手権大会準々決勝 慶應義塾大学vs.大東文化大学 @秩父宮ラグビー場



ちょうど1週間前、大阪で立命館大学に圧勝して臨む今日の準々決勝。会場は東京・秩父宮ラグビー場。先月、明治神宮野球大会で神宮に来ましたが、秩父宮は1年ぶり。前回来たのは昨年の大学選手権の3回戦。同点で終了し、結果的に抽選で勝ち上がり、試合後に号泣してしまったあの試合以来です。


秩父宮に来る前に所用があり、到着したのは試合開始の20分ほど前。既に自分と同じ列の他の席は慶應ファンで埋まっていました。






対戦相手の大東文化大学は、22年ぶりに関東大学リーグ戦で優勝したチーム。FW第2列、第3列に入るファカタヴァ兄弟のトンガからの留学生コンビを中心とした重量感のあるFWが特徴のチーム。一方の慶應はバックスを中心にした展開ラグビーを得意とし、FW8名の体重はそれほど重いわけではありません。スクラム、モールといったFWの力勝負になると劣勢になるのではという不安はありました。


今日の試合に勝つためのポイントは、今書いたようにFW戦でどれだけ互角に近い勝負が出来るか、そして両外国人の突破をどれだけ抑えられるのか、その2点だったと思います。


試合前の不安が試合開始直後に的中してしまいました。ファーストスクラムから、大東大FWに圧力をかけられてコラプシングの反則。最初からこの反則を取られると、往々にして試合を通して苦しめられることになります。


前半5分過ぎ。今度は慶應が自陣のゴール前でペナルティをとられ、スクラム勝負。ここで4度続けてコラプシングの反則を取られて、認定トライを献上。そして、反則の繰り返しということで、4度目のペナルティの時の当該選手にシンビン(10分間の一時退場)。試合開始早々から非常に苦しい展開になりました。


1人少ない中、なかなかマイボールをキープできず、ペナルティからピンチを招き、相手の圧力に負けてしまい、1人少ない間にさらに2トライを献上し、前半20分過ぎの時点で0−21。このまま一方的な展開になってしまうのではという不安が頭をよぎりました。


慶應に流れが傾き始めたのはシンビンがとけて、15人で戦えるようになった前半25分あたりから。得意とするバックスで回す展開が見られるようになり、前半30分には右サイドのスペースを縦に突破したWTB宮本がトライ。その直後には、今度は右サイドにボールを展開し、最後はFB丹治が決めて、今日2トライ目。このトライの直前、ゴール前10m付近だったか、ボールを持っていたWTB金澤に対して、背後から首根っこを掴んで引きずり倒そうとした大東大のNo.8 アマト・ファカタヴァがシンビンに。相手が1人少ない、しかも重要人物の一人が欠けるということで、慶應として追い上げる絶好のチャンスがやってきました。


相手が1人少ないということで、ボールを展開するケースでは数的優位を作ることができ、前半終了直前には左サイドを独走して、宮本が今日2つ目のトライ。コンバージョンのゴールも決まって、21−21の同点。全くわからない展開になりました。


後半開始2〜3分ほどで、シンビンになっていた大東大のNo.8が復帰したのですが、それでも慶應の流れは変わらず。後半5分には、中央からFWでゴリゴリ攻めて、最後は途中出場のHO岡田がトライを決めて逆転。(28−21)


その後も慶應はトライを狙いに行けるような攻撃のチャンスが何度もあったのですが、ノックオンなどのミスがあって、チャンスを得点につなげることができず。


後半も時間の経過とともに、大東大のFW陣の圧力に再び圧倒されるようになり、中央にできたスペースを突かれて、後半19分に同点に結びつくトライ、そして26分には逆転のトライを許してしまいました。残りは15分弱。1T差、追いつけない差ではありませんでした。


大東大は逃げ切ることを考えれば、FW戦に持ち込んで時間稼ぎをするのかなと思っていましたが、ノータッチのキックを敵陣に蹴ってくれて、慶應側のボールになるシーンも何度かありました。しかし、追いつけそうで最後まで追いつくことが出来ませんでした。


勝てるチャンスがないわけではなかったので、こういう惜敗という結果になってしまい、すごく悔しいです。


勝ち上がれば次の準決勝(1/2)で対戦予定だった明治大学からは、「対抗戦で惜敗した慶應にリベンジしたい」という挑戦を受けていたので、年明けにまた慶明戦をやりたかったです。もちろん慶應はチャレンジャーの立場で。


今日の敗因としては、試合前から予想していたFW戦で劣勢になる時間が長かったこと。そして想定外だったこととして、LO辻が前半30分過ぎに膝を負傷して交代してしまったこと。辻がいなくなったことで、ラインアウトのオプションが1つ減ってしまい、後半はマイボールラインアウトをキープできたシーンもありましたが、安定感が感じられませんでした。攻撃の面でもそうですが、辻がいなくなったことも大きかったと思います。


今年の慶應、非常によく仕上げられたチームだったと思います。12月に入ってからの2試合の100点ゲームの印象はもちろん強く残っているのですが、それ以上に対抗戦であの帝京相手に28−31と3点差で敗れはしましたが、あわや勝ってしまうのではという試合が出来たことが最も印象に残っています。これだけのチームだったので、最低でも年越しを果たして欲しかったのですが・・・。大学選手権はトーナメント。負けた時点で終了です。4年生の選手にとっては、大学でのラグビー生活にピリオドが打たれることになります。




明日、4年生vs.帝京大学4年生の試合がありますが、それが終わると来シーズンに向けて動き出すことになります。来年は、慶応義塾高校時代に桐蔭学園を撃破して花園(全国高校ラグビー選手権大会)に出場した時の高3のメンバーが最上級生になります。彼らを中心に、さらにはバックアップメンバーを充実させて、選手層を厚くして臨んでもらいたいと思います。


今年の対抗戦は2位(得失点差により3位扱い)ということで、来シーズンは春季大会はAグループで戦うことが出来ます。帝京、明治、大東文化、東海、流通経済と対戦が出来るわけで、そうした上位チームとの試合の中で経験を積んで行ってもらいたいと思います。


来シーズンは今年以上のチームを作ってくれることを期待しています。


キャプテンが誰になるのか注目していますが、既にレギュラーメンバーに入っている中から選ぶのであればこのあたりかなという察しはつきますが・・・ 個人的にはフィールドで試合をコントロールする役割を担うHB団(ハーフバック)の選手が良いのではないかと思います。


秩父宮ラグビー場の芝。まだまだ根付いていないようですね。


ハーフタイムには下の写真のように整備をしていましたが、試合中も試合が止まっている場面では適宜整備に入っていました。慶應が前半早々に4連続でコラプシングをとられた場面のスクラムでは、毎回場所をずらして行っていました。


今年は10月に大雨が降る中で試合を消化したために芝がダメになり、11/23の慶早戦の前に全面的に張り替えたようですが、1か月以上経ってもまだ・・・。試合を多く行っているという理由もあるのかもしれませんが、どうにかしないといけないですね。

        • -


慶應が負けたら2試合目は見ないで帰ることを決めていたので、帝京vs.流通経済の試合は帰ってからJSPORTSオンデマンドで見ました。もし慶應が勝っていれば、試合後にいつもの「札幌や」でラーメンを食べて、再び戻って第2試合を観戦する予定でした・・・


来年1月2日に行われる準決勝2試合の組み合わせ
第1試合 明治大学(対抗戦2位)vs.大東文化大学(リーグ戦1位)


第2試合 帝京大学(対抗戦1位)vs.東海大学(リーグ戦2位)


来シーズンの大学選手権での対抗戦枠を増やすために、帝京と明治を応援します。